ふれあい食堂

官民連携で見守り、つなぐ

2024年3月31日

ふれあい食堂をはじめたきっかけ

会議でこども食堂をやりたいという人が多く名乗り出たことがきっかけです。以前は鳥取市中央人権センターに務めていた大門さん。仕事柄子どもの貧困をなんとかしてあげることはできないか考えていたそう。またその時から食堂運営者の方たちの悩みなどお話しは伺っていたので、食堂のノウハウはある状態で、試験的に始めることを検討し始めました。
社協(社会福祉協議会)や南部包括を誘って、まず6月に河原共助会というボランティア団体を立ち上げ、その後9月から3か月試験的に食堂を開催いたしました。そこで一番初めにボランティアとして声をかけたのが佃さんです。佃さんは児童館に務められ、普段から共催事業や行事に呼ばれ、関わりがあったことや、テレビでこども食堂、こどもの貧困についてのニュースを目にしていたこともあったので、ボランティアをやることに決めました。
 試験的に始めた地域の小学校の全校生徒数は 60名程度しかおらず、
こども食堂をはじめてみましたが子どもより高齢者の方が困っている様子が多く目に見えました。そこでこども食堂ではなく、高齢者も含めた地域食堂として開始することにしました。その結果、 0歳~ 96歳まで、幅広い年代の方が来られるようになりました。
ふれあい食堂ではそれぞれが役割をもっています。「はじめの頃は、調理入ってね、なんかやりたいことはない?と声をかけていましたが増えていって、今では全員が片付けに参加しています。(大門さん)」また、家では調理をさせてくれないから、ふれあい食堂で調理に加わるのがすごく楽しみと語る 93歳のおばあちゃんもいます。高齢者が小さい子を可愛がったり、世代を超えたコミュニケーションが取れるのも地域食堂ならでは。最近見かけないな、という人にはお弁当やチラシをもって家を訪ねたりして、地域で見守っています。
 

こどもの声からうまれた「のんびりかふぇ」

ふれあい食堂のスピンオフとして子どものやりたい!からうまれた「のんびりかふぇ」を月に1回開催しています。
児童館の職員である佃さんが子どものつぶやきから拾い、大門さんご協力の上開催をすることができました。「まず私たちっていうのは、子どもを守る権利っていうのが前提にあります。自分が楽しく過ごす、衣食住が約束されている、それを守るのは大人なのでカフェをはじめました。(佃さん)」カフェのお客さんは河原共助会の食事を提供するボランティアさんやカフェで働いている子どもたちの両親や地域の人たち。子どもたちが失敗しても見て見ぬふりであたたかく見守っています。「のんびりかふぇ」では子どもたちがのんびりするも、働くもよし。家でも学校でもない第3の居場所になっています。
食材は鳥取市中央人権福祉センターからいただきます。小学校5,6年生の子たちが河原人権福祉センターの冷蔵庫を開けて食材にチェックをし、足りない食材は佃さんにお願いするなど、大人顔負けの行動力を発揮しています。「たぶん、受け入れてくれる大人がここにもいるっていう安心感もあるんだと思います。いろんな相談を受けても、大人がそれに向き合って行動しないと心も開いてくれないと思うので。あなたを守ってくれる大人はいっぱいいるよっていうことを分かってほしいという思いですね。(佃さん)」
子どもたちから悩みを相談されるために工夫していることを佃さんに伺ったところ、意外な答えが返ってきました。「常にぼーっと暇そうにしてます。なんかちょっとキリっとしてたら、あ、なんか今日は機嫌悪そうだなとか思うじゃないですか。そういう雰囲気は気を付けています。(佃さん)」
 

他機関連携について

地域の中で何か困ったことがあったら自分のところだけで処理せずにみんなで関わって処理ができるように「地域包括ケアシステム推進連絡会」が設置されています。2か月に1回鳥取市役所河原町総合支所市民福祉課、南部地域包括支援センター、河原人権福祉センター、河原町総合福祉センター、市社協地域支え合い推進員が参加し、個別ケースの進捗状況などについて話し合います。ただ、河原町は緊急の場合は即時集まれるような体制を作っています。
「地域食堂を運営するにあたっての支援というか、社会資源がつながっていて、それをうまく場所づくりや活動の時に何か起こったらみんなで話し合おうっていうことで、地域の包括連携協定を結びました。そこにはいろんなセクターの人を入れて、もう仕組みにしておこうということになっています。(川口さん)」

 

これからの展望

佃さんと大門さんに食が持つ可能性について伺いました。「食堂って知らない人と話す確率が高くて。でもそこに食が入ると美味しいねとかそういう会話もできて、硬い表情からやわらかい表情になるので、すごくいいなと思います。(佃さん)」「居場所に食があると集まってくる。みんな日中ひとりでご飯を食べているんだと思います。(大門さん)」
また、今後のやりたいことについても伺いました。「私は、小学校や中学校から徒歩 5分圏内のところに誰でも来ていいよっていう居場所を作って、朝はおにぎりやパン、日中はカフェや食堂として開放しているような居場所が作れたらいいなと思います。(佃さん)」「河原でずっと続いていけたらいいなという思いもあるし、夜中に駅前でうろうろしている中高生に向けてカレーを食べさせてあげたり、泊まるところがなかったら泊まってもいいよっていう、そういう居場所をつくりたいねと川口所長と一緒に話しています。(大門さん)」
大門さん(左)佃さん(右)
 
 

 
 
 

◎主な事業内容
会食
・居宅への宅食
◎活用している資金源 
因幡・但馬麒麟のまち地域食堂ネットワーク運営補助金(鳥取市補助金)
◎活動拠点 
河原町コミュニティーセンター
鳥取県鳥取市河原町渡一木277-1
◎URL